私のアトピーとの向き合いかた
私は、アトピーがひどい時、かなり後ろ向きでした。
「もう一生治らない!」「みんな普通に暮らしているのに、なんで私だけこんな目に!」
とイジイジウジウジしています。
私が一番アトピーが悪化した時は、ちょうど仕事を辞めた直後でした。
ヘコむことに専念できる環境で、それこそイジイジし放題でした。
「ずっと膝抱えて部屋の隅っこに座ってる」みたいな感じです。
買い物も行きたくなくなって、夫が買って来てくれていました。
とにかく、ひどいアトピーと真っ向から向き合って、アトピーの事ばかり考えていました。
「アトピーなんてなかったら、もっと色々できるのに!」と。
では、アトピーが良くなった今では、何か変わったのか?と考えますが、
全くそんなことはありません。
もっと色々できるのに!と思っていましたが、
ものすごく活動的になった、とかもありませんし、基本はあまり変わりません。
おそらく、今またアトピーが悪化したら、思考回路は完全に元に戻ると思います。
「こんなに合わないものを避けてるのに!なんで!ひどすぎる!!」
とまたイジイジして部屋の隅っこに逆戻りすることでしょう。
私は、アトピーが良くなったのに、いまだにアトピーに怯えて暮らしています。
それは自分が「完治した」とは全く思えないからです。
「子供のころからずっとアトピーだった」ということは、そういう体質なのだと思っています。
きっと油断すればまた、アトピーは出てくるでしょうし、
そうなればまたアトピーが出ている自分が嫌で、気分も落ち込みます。
そうならないためにも、私にとっては「アトピーが全く出ていない状態を保つ」ということが最善です。
なので、日ごろ、体に良い食事を作ることや、自分に合う健康食品を探すこと、本を読んで勉強することは苦になりません。
アトピーを気にしない
そんな私とは対照的なのが、夫です。
うちは夫もアトピーです。
彼は私と同じ食事を食べているので、今ではアトピーもかなり安定していますが、
以前は顔に出たり首に出たりすることもありましたし、
今でも、足や体に出ることもあります。
でもそんなときも彼は昔から、たんたんとしていて、
「じゃあ、ステロイド塗ろうかなー。」とやり過ごしています。
そしてしっかりと仕事に出かけていきます。
そんなに気にする素振りも見せません。
例えば彼は昼は好きなものを食べていますし、お酒も大好き。仕事のストレスだってあるでしょう。
じゃあ、もしかしたらそれを止めたらアトピーはもっと良くなるかもしれないけれど、好きなお酒を止めてまでアトピーを完治させようとも思っていませんし、
ストレスがアトピーを悪化させる、とかもどうでもいい事のようです。
そもそも、アトピーとそんなに向き合っていません。
だから、彼の人生はアトピーには全然左右されていないなと思います。
アトピーの調子が良くても悪くても、それが自分の人生には何も影響しない。
ひとつ、こんなエピソードが。
夫は本屋さんで立ち読みをしていると、急に中年男性が寄ってきて、
「すみません、失礼ですがアトピーありますよね?」と言われたそうです。
知らない人に急にそんなこと言うなんて、本当に失礼だと思いますが、
どうも気功の教室かなにかに勧誘したかったようで……
しかし、夫は「は?違いますけど」と即答したそうです。
あちらとしては、「アトピーじゃない」の一点張りの相手に、なすすべもなく、ほとんど何も言えなかったみたいです。
私はその話を夫に聞いた時は
「す、すごい……!」と思いました。反射的に「違う」と言えるそのスタンスが。
私なら急に「アトピーですか?」と聞かれたら、
とりあえず「え、はい……」と答えると思います。もう、これは反射運動です。
「アトピーですか?」という質問に「はい」と答えることは、
「あなたは女性ですか??」と聞かれて「はい」と答えることと同じくらい、私にとっては自然なことだからです。
良くなった今でもそれは変わりません。
夫がいかに、アトピーを気にしていないかがわかります。
それは私には絶対にできないことなので、本当に尊敬します。
人生は一度きり。好きなものを食べたり飲んだり。それも人生の楽しみのひとつです。
それを棒に振ってしまうこともないのだろうなと思います。
でも私の場合は、自分のアトピーが、食べ物に左右されるとわかってしまったので。
そして、アトピーが出ていないことが自分の幸せにつながるというタイプなので、
「全力でアトピーに向き合う」という形になってしまいました。